大量の創英角ポップ体を見に、京都の不動産屋さんまで行った話
どうも、創英角ポップ体評論家のGABBAいばあちゃん(twitter:@P_FRZ)と申します。
突然で恐縮ですが、「無性に創英角ポップ体が見たい!」と思ったこと、ありませんか?
皆様方におかれましても、人生に一度はそういった衝動に駆られたことがあるかと思います。以降、「そういった衝動に駆られたことがある」という体で話を進めていきますので、何卒ご理解のほどよろしくお願いします。
というわけで、見てきました。
これが
こうなって
こうなるんですよね。
京都に来ました。
「京都に行く意味がわからない」「そもそも『創英角ポップ体を見たい!』と思ったことがないんだが」「創英角ポップ体くらいPCで見られるでしょ」「京都に行きたかっただけだろ」という指摘は、この話の根本がパーになるかもしれないしやめてね。
さて、京都まで向かった理由を図示してみます。
非常に分かりやすいですよね。背景にフリー素材の寿司職人と五重の塔がいるので、和の力で「なるほど」と納得されるかと思います。納得してください。
で、「不動産屋さんにある創英角ポップ体」というのは、店舗に貼り出されている物件案件の……
こういった、物件案内の張り紙のことです。
街場にある不動産の広告をよく見てみると、創英角ポップ体が多用されていることが窺えます。
なんとなく見覚えがありませんか?
今回ですが、
京都に行く→不動産屋さんに行く→店先の広告を見る→創英角ポップ体最高!
という展開になります。清水寺にも金閣寺にも嵐山にも行きませんのでご了承願います。修学旅行じゃあないんだよ。
目次
目次終わり
0.京都に着いたぞ
さて、京都の玄関口 京都駅に到着しました。
ここで、今回の調査地点について説明します。
京都市街地北部を東西に走る今出川通。その今出川通のうち、北野白梅町~烏丸今出川~百万遍のライン(下図参照)は、ご存知のとおり「京の創英角ポップホットライン」と言われています。*1
この一帯は京都大学をはじめ、同志社大学、立命館大学等の大学群に程近く、京都の中でも特に学生が密集しているエリアになります。学生向け物件に強い不動産屋さんが多く、当然創英角ポップ体も多く見られると予想できます。
上記3エリアに加えて、泊まっていたホテルの近辺(四条烏丸界隈)の4地点に絞り込んで調査しました。
調査箇所を図示すると、以下の様になります。
各調査地点を結ぶと、綺麗な逆三角形(創ポ・トライアングル)ができます。
また、裏鬼門にあたる西大路御池、北方の鞍馬口、観光客の多い東山なんかを適当にピックアップして三角形を作ると、烏丸丸太町を中心とした六芒星ができます。これに関しては、特に意味はないと思います。
前置きが長くなりました。
四条烏丸、北野白梅町、烏丸今出川、百万遍界隈における創英角ポップ体の調査レポート的なものを書いてみようかと思います。
1.四条烏丸界隈
京都駅から地下鉄烏丸線に乗車しておよそ5分。四条烏丸交差点に到着しました。「四条通」と「烏丸通」の交点なので「四条烏丸」です。
『京都中心部の交差点は「通り名」+「通り名」で呼ぶ』というさえ覚えておけば、京都観光は割となんとかなると思います。
四条烏丸交差点から東側(四条河原町方面)のアングル。銀行や証券会社の支店、デパート等は多く見られたものの、不動産屋さんは見受けられませんでした。
一方、四条通を西方向に歩いてみると…
左から「賃貸住宅サービス」「エイブル」「アパマンショップ」「京都ライフ」「クラスモ」がの5件が並んでいました。
戦隊ヒーローの歴代レッドが勢揃いした様な光景。あるいは、アベンジャーズ。ニチアサキッズとアメコミファンと不動産業者マニア、創英角ポップ体フリークは喜ぶかもしれない……。
不動産屋さんが密集しているとはいえ、流石に創英角ポップ体が見られるとは限……
……りましたね。
(最後の写真は中央の「ファミリータイプ」が創英角ポップ体です。)
業者によってレイアウト、創英角ポップ体使用率、その他テイストは異なるものの、広告のどこかしらに創英角ポップ体があるようです。
壁面広告から適当にピックアップして、書体を再現してみました。
ここまでくると「元気があってよろしいどすなぁ…」(京ことばで「喧しいから静かにしてくれ」の意)となりますが、注目を集めやすいフォントであるのは確かだと思います。
2.北野白梅町界隈
先程
『京都中心部の交差点は「通り名」+「通り名」で呼ぶ』というさえ覚えておけば、京都観光は割となんとかなる
と言いましたが、もちろん例外もあります。
北野白梅町(西大路通と今出川通の交差点。「西大路今出川」とも「今出川西大路」とも言わない)もそのひとつです。
もっとも、優しい京都人は「北野白梅町は京都中心部にありまへんえ」と仰るかもしれませんが……。
北野白梅町界隈ですが、意外にも不動産屋が少なかったので……
とりあえず立命館大学まで向かうことにしました。
京都に行った時期が学園祭直前シーズンだったため、企画紹介の看板が学内の随所に。
これはもしかして……
手書きの創英角ポップ体ですが、ペンキの厚みや線のブレ、筆の擦れなど、PCで打った文字とは異なる味わいがあって趣深いです。機械では出せない風合い、暖かみさえ感じられます。
似たようなモノは、交通安全啓発のポスター等でも見られそうですね。
もちろん、創英角ポップ(手書きではない)も。
本題から逸れてしまったので話を戻します。
不動産屋さんですが、立命館大学の東門付近(下図のピンク色の直線上)に多く展開していました。
大学東門からの景色。目の前に2軒の不動産屋さん。
大学から不動産屋まで徒歩10秒、絶好のロケーション。まだ、誰も知らない物件(セカイ)へ……(マンションポエム風)
…マンションポエムって難しいですね。
ちょっと進むとエリッツがあったり。
その奥にも2軒ほどあったりします。
こんな感じで物件案内がズラリと並んでいます。
大半の物件が大学近辺の1K〜1Rのアパート。
ターゲットを学生に絞り込みつつ、価格/大学までの距離/築年数…など、物件それぞれのセールスポイントをアピールしています。
物件案内の紙自体には、創英角ポップ体は一切使われていません。
別の紙に見出しとして「立命大近く!ユニット物件」「築浅物件」「おすすめ!セパレート物件」といったように創英角ポップ体を用いる、かなり控え目な意匠です。
創英角ポップ体を全く使わない不動産屋さんもいれば、
控え目に使う不動産屋さんもいたり。
先程の四条烏丸界隈ではとは異なり、創英角ポップ体は見出しor別紙に留めるなど、京都特有の奥ゆかしささえ感じられます。
創英角ポップ体がない……
と思ったらあった♡♡♡♡♡
3.烏丸今出川界隈
北野白梅町から東へ歩くこと30分、同志社大学のある烏丸今出川に到着しました。
京都市内ですが、一部地区を除いて東西の移動手段があまりよろしくない&市バスが混みがちなので、時季や天気次第ではレンタサイクルを使うと良いです。(これは本当です)
とりあえず大学構内を散策。
めちゃくちゃオシャレだ……
と思ったら見紛うことなき創英角ポップ体がチラリ。
校舎の洗練され具合、掲示物の「ハンドメイド感」が織りなすハーモニーが心地良いですね。
ファッションには疎いので良く分かりませんが、コーディネートの「外し」にダッドスニーカーを履いてみたときの感覚に似ていると思います。
大学正門から見ると、不動産屋さんが数件隣接している様子が伺えます。
丸の中に創英角ポップ体を入れる、物件案内を暖色系で統一するといった工夫に温もりを感じます。
大学進学を機に一人暮らしを始める学生。家族や仲の良かった友達と離れることへの寂しさ、新生活への不安。
そういった不安と寄り添うこと、そして、「物件としての"House"ではなく、第二の故郷、心が落ち着く場所としての"Home"を提供致します!」という、不動産屋さんの決意めいたものが見て取れます。
四条烏丸周辺を歩いてた時にも思ったんですが、アパマンショップの創英角ポップ体使用率、ヤバくないですか?
紙面の8割くらい創英角ポップ体ですよ。
それでいて、家賃や敷金礼金、立地といった物件選びでの最重要(であろう)ポイントを逃さない、ギリギリのセンス*2で成り立っています。
あんまり見やすくないですね。
ファミリー向けの物件案内には創英角ポップ体を使わないというチョイス。閑静さとは程遠いフォントですもんね。
4.百万遍界隈
やってきました、
𝐾𝑌𝑂𝑇𝑂 𝑈𝑁𝐼𝑉𝐸𝑅𝑆𝐼𝑇𝑌 です。
大学と地域が連携したイベント(?)が開催されていました。この日見た大学の中では、いちばん活気がありました。
創英角ポップ体で書かれた「Kotani home」の文字。反対側の車線からでも十分に目を引き、なおかつ景観を損なわないデザインが秀逸。
アパマンショップの広告のデザインは、烏丸今出川のものとほぼ同じパターンみたいです。
見出しの別紙に創英角ポップ体を使うのは、北野白梅町(立命館大学周辺)界隈でも見た技法ですね。ポップ体+背景のビビッドカラーで非常に賑やかな印象があります。
ところで、カップル・ファミリー向け物件で創英角ポップ体が使われないのは何故なんでしょうかね…?
やっぱり、創英角ポップ体が「閑静さとは程遠いフォント」だからなのでしょうか…?
5.総括
以下、調査対象の4地点について軽くまとめました。
京都観光と言えば寺社仏閣、座禅・写経などの体験、和スイーツが取り上げられがちですが、「創英角ポップ体を見て回るのも楽しいぞ!」ということが伝われば幸いです。
先にも書きましたが「わざわざ京都まで行く理由は?」と訊かれても答えに窮するのでやめてくださいね。
以上です、ありがとうございました。